宮崎最西端の駅「真幸駅」へ!真の幸せの鐘を鳴らして来ました

45.宮崎県

ひとくちスポット紹介

スポット名真幸(まさき)駅
所在地〒889-4162 宮崎県えびの市内竪
概要JR肥薩線の無人駅。
その駅名から真の幸せがある駅として知られ、ホーム上には「幸せの鐘」が設置されている。
令和2(2020)年7月の豪雨災害で不通となっており、2023年現在復旧の見通しは無い。

熊本県八代市を起点として宮崎県を通過し、鹿児島県霧島市を結ぶ「肥薩線」というローカル線があります。

基本的に急峻なルートを通り、道中ではスイッチバックや球磨川沿いの景観、日本三大車窓とされている「矢岳越え」などが有り、時には観光列車も運行するような路線でした。

ですが、2020年7月の記録的豪雨の影響で、熊本県側の線路はことごとく寸断、橋梁は流失し、この記事を書いている2023年8月現在でも復旧の見通しは全く立っていません。

そんな肥薩線には、「真幸駅」とよばれる鐘を鳴らすと真の幸せが得られる不思議な駅があります。

列車は来ませんが、駅は開放されているようなので行ってみることにしました。

幸せを求めて真幸駅へ

鹿児島県を抜けて宮崎県えびの市に入り、民家もまばらな国道447号線を進むことおよそ15分。

ここ真幸駅は肥薩線で唯一宮崎県を通る場所で、宮崎最西端の駅でもあります。さらに駅舎が建てられたのは明治44(1911)年なので、築100年超えの貴重な建物。

駅舎に入ってみる

中は電気が点いていて、普通に入れました。

壁一面にサインや肥薩線の昔の写真が飾られています。

肥薩線の運転状況も貼られていました。

こんな状況なので、肥薩線が路線としてちゃんと機能しているのは鹿児島県のみとなります。

運賃表。

大きな駅である八代駅・鹿児島中央駅までは1,680円必要なあたり、いかにも秘境駅らしいです。

スタンプラリー

スタンプを押せる場所なんかも設けられていました。

メモ用紙が用意されていたので、記念に押してみることに。

▲ 「縁起のよい真の幸せへの入場券」とある
▲ 「石庭づくりの駅」とある

・・・インクが足りない

でもこういうスタンプを押すと、ちょっとした達成感が有りますね。

※右写真のスタンプには「石庭づくりの駅」とありますが、これは真幸駅に白い小石を敷き詰めた石庭(枯山水)があったのが理由なのだそうです。

ホームに出てみる

駅舎からホームに出るには、駅構内の踏切を渡って行きます。

おそらく数年間は灯っていないであろう、列車の接近を知らせる機器。

真幸駅はスイッチバック駅でもあったので、方向転換のためにかつてはどんな列車であっても停車する駅でしたが、今となっては列車すら来ない状態。

線路を見てみると、草が徐々に勢力を伸ばしてきているようでした。

幸せの鐘を鳴らそう

こちらが冒頭で記した「幸せの鐘」

もともとこちらの鐘は、列車や乗客の安全と幸福を願って乗務員などが鳴らしていたもの。

ちょっと幸せの人は1回もっと幸せを願う人は2回いっぱい幸せの人は3回と、幸せを願う度合いによって鐘を鳴らす回数が変わるのだそう。

駅には誰もいなかったので、欲張って3回鳴らしておきました。

山津波の恐ろしさを伝える巨石

幸せの鐘を後にしてホームを進んでいくと、大人の背丈ほどは有るであろう巨大な岩がホーム上にどーんと現れました。

昭和47(1972)年7月6日。

この日、断続的な豪雨に見舞われ地盤が緩んでいた真幸地区では、駅の裏山の斜面が崩落し土石流となって真幸駅や周辺の集落を瞬く間に飲み込み、死者4名、負傷者5名のほか肥薩線の寸断、住民の集団移住を引き起こしました。

この巨石はその時に流されてきたもの。重さはなんと8トンにも及びます。

肥薩線列車退行事故

ちなみに、真幸駅(正確には駅周辺)ではこのような事故も起きています。

第二次世界大戦が終結して間もない昭和20(1945)年8月22日、南九州に駐屯していた兵士が続々と復員していく最中のことでした。

▲ 駅に飾られていた新聞の切り抜き

この日、鹿児島から人吉方面へ復員列車が運行されていましたが、列車は真幸駅付近の第二山ノ神トンネルに差し掛かるも登り切れず、トンネル出口の寸前で立ち往生してしまう事となります。

事故現場となったこのトンネルは、登り勾配に加えS字カーブとなっている難所。

当時運行していたのは蒸気機関車でしたが、このとき粗悪な石炭を使用していたことから蒸気機関車の黒煙がたちまちトンネル内部に充満し、耐えかねた乗客たちは線路に降りてトンネルの入口を目指していきました。

しかし、下りた乗客に気づかなかった列車は後退を始め、線路上を歩いていた乗客を次々と轢いてしまうのです。

この事故で53名前後の方が亡くなりました。

「真幸駅」

一目見ただけではポジティブな印象を受ける名前の駅ですが、その歴史は決してそうとは言えないものでした。

今回の豪雨災害による不通もまさしくその一つですが、写真の信号類が未だ消灯せずに稼働しているように、諦めずにいつの日かまたここに列車が来ることを願うばかりです。

今日のあとがき

スウ
スウ

駅舎で写真を撮っていたところ、突然ホーム側から物音が…!

たぶんここの駅に住み着く猫かと思いますが、とってもビックリしました。

スポット情報

スポット名真幸(まさき)駅
所在地〒889-4162 宮崎県えびの市内竪
営業時間無し(毎週土日・祝日のみ駅構内で売店の営業あり)
駐車場有り(無料)
トイレ有り
現状(2023年8月現在)令和2(2020)年7月の豪雨災害のため不通