今は無きスイッチバック駅の跡がある「永野鉄道記念館」とその歴史

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ひとくちスポット紹介

スポット名永野鉄道記念館
所在地〒895-2203 鹿児島県薩摩郡さつま町永野884
概要旧国鉄宮之城線の駅跡を活用して造られた施設。
館内には数々の展示品があるほか、スイッチバック駅時代の線路や当時の車掌車などが保存されている。

2023年2月23日、天気は曇り。

今回紹介するスポットは、鹿児島県薩摩郡さつま町にある「永野鉄道記念館」です!

こちらは、今は廃止されたあるローカル線の駅跡を記念館として整備したもので、周辺には営業当時の設備が一部展示されています。

永野鉄道記念館ができるまで

まずは、この記念館ができるまでの歴史を解説していこうと思います。

かつて鹿児島には、川内駅(現:薩摩川内市)から薩摩大口駅(現:伊佐市)を結ぶ国鉄宮之城線が存在していたそうなんです。
そして永野鉄道記念館が建つ場所には「薩摩永野駅」がありました。

薩摩永野駅が開業したのは昭和10(1935)年のこと。

ただし、この頃の宮之城線はまだ川内方面のルートしか整備されていなかったため、薩摩永野駅は終着駅としての扱いでした。

▲当時の駅名標。スイッチバック駅のためか行先は一方向のみ表示されている

その2年後の昭和12(1937)年、薩摩永野駅~薩摩大口駅間が開業して中間駅になりましたが、その際にどういうわけか全国的にも珍しい平野にあるスイッチバック式の駅となったのです。

かつて金山で栄えていた永野集落をいったん経由したのち、ほぼ真北にある薩摩大口駅へ接続する関係上このような造りになったみたいですが…なんともユニークな構造ですね。

実際に薩摩永野駅がスイッチバック駅として活躍した証拠として、記念館のそばには当時使われていた列車の進行方向を変えるためのシーサスクロッシング(線路がX字に交差したもの)が展示されています。

その後、昭和末期になると宮之城線はマイカー普及による利用者数の減少が顕著になり、国鉄によって第2次特定地方交通線に指定されました。
いわばこれは「赤字で採算とれないのでそろそろ廃止しましょう」という余命宣告です。

そして昭和62(1987)年1月10日、宮之城線は全線廃止。
それに伴い薩摩永野駅も駅としての役目を終えましたが、この翌年に駅跡を活用した永野鉄道記念館が整備され、いまに至ります。

記念館の中へ

記念館の中は開放されていて、時刻は夕方5時を回っていましたが自由に中に入れるようになっていました。

切符売り場の方には展示室もあるのですが、中へ入るには管理者の方から鍵を借りてくる必要があるらしく…この時間帯に連絡するのも気が引けるので、入口の窓から覗くだけに留めました。

内部はこんな感じで、数々の写真や動輪など、いろんなものが展示されています。

このほか、記念館の周りには当時の車掌車や駅名標などが保存されていました。

今は無き宮之城線。

廃線からすでに30年以上が経過しており、場所によっては本当にここに鉄道が走っていたのか疑うぐらいに当時の痕跡が抹消されていますが、永野鉄道記念館のように遺構が展示されているところを見ると「あぁ、確かにここに鉄道はあったんだ…」と思わせてくれます。

路線の存在すら知らなかった僕にとって、いろいろと勉強になる場所でした。

今日のあとがき

スウ

この日は枝しか有りませんでしたが、春になればきれいな桜並木が見られるそうです!
春に訪れる際は、ぜひ記念館と併せて見てみると良いかも!

スポット情報

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この記事を書いた猫

九州地方に住むケモノ。
愛車でドライブを楽しむかたわら、2022年より観光スポット紹介と旅行記を兼ねたブログ「けものたび」を開設。

2022年:本土最南端「佐多岬」到達
2023年:日本最低峰の一つ「天保山」制覇

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